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宝石鑑別検査の紹介
宝石鑑別検査について
こちらでは宝石の鑑別検査で使用する様々な器材についてご紹介したいと思います。最近の宝石の合成・処理技術の発展は目覚しく、ここで紹介する鑑別検査で全てが識別できるわけではありませんが、これらは宝石鑑別検査の基礎となるものですので、やはり宝石に携わる人間としては使いこなせなければなりません。ここでは、鑑別器材の詳しい仕組みなどは省略し、簡単な使用法と主な宝石の識別方法についてご紹介したいと思います。

また、これら一般的な鑑別検査で識別不可能なものは、鑑定・鑑別機関の分析機器などを用いた、より詳細な分析が必要となってきます。
偏光検査
偏光器

まず最初は、偏光検査です。偏光検査には偏光器を用います。偏光器には光源と2枚の偏光板が付いており、上から覗き込むような状態で検査します。上部の偏光板は回転するように作られており、回転させると明るくなったり暗くなったりします。

宝石検査は暗い状態(クロス・ポジション)で行います。上下の偏光板の間に石を入れて回転させ、石内部の明暗を観察します。

  • 石を回転している間、石内部が暗いままなら、その石は単屈折性です。(天然スピネル etc.)
  • 45°ごとに規則正しく明暗に変化すれば、その石は複屈折性です。(ルビー etc.)
  • 不規則な明暗変化や干渉縞が現れれば、その石は異常消光を示す単屈折性です。
    (ダイアモンド etc.)
  • ずっと明るいままであれば、その石は結晶質です。(翡翠、カルセドニー etc.)

例えば、赤い透明石があったとして、それが天然のスピネルかルビーの可能性がある場合、偏光器を用いて偏光検査をすれば、識別が可能です。

ただし、検査できるのは光を透過する石のみで、不透明石(トルコ石 etc.)などは検査できません。
屈折率測定
屈折計
宝石鑑別検査において最も重要な検査は、顕微鏡による拡大検査と屈折計による屈折率測定です。今回は屈折率測定を紹介します。

宝石にはそれぞれ宝石固有の屈折率があり、この屈折率がわかれば宝石が識別できるというわけです。
写真右は屈折計と偏光フィルター、ガラス瓶の中は屈折液が入っています。

屈折計&目盛(スケール)

まず最初に、屈折計の後部に先に紹介した偏光器を接するように設置し、屈折計の後部の窓から光を取り込みます。
屈折計の蓋を開け、屈折液を高屈折ガラスに適量のせ、宝石を置きます。屈折液は高屈折ガラスと宝石の隙間を埋めるために使用します。

写真左は蓋を開けた状態(左側)と宝石(シトリン)をおいた状態(右側)です。この時、高屈折ガラスは硬度が低いため、硬度の高い宝石などでガラス面を傷つけない様、注意しなければなりません。

次に接眼レンズに目を近づけ、屈折率を読み取ります。
写真左は宝石を置く前(左側)と置いた時(右側)の目盛の状態です。

右側の写真で、明るい部分と暗い部分の境界部の目盛の値が、その宝石の屈折率となります。今回、宝石はシトリンを使用しましたので、目盛は水晶の屈折率である約1.55付近を示します。ここでは省略しますが、シトリンなどの複屈折性の宝石は2つの屈折率(最大値、最小値)を持ち、それらは偏光フィルターを用いることにより得られます。

ある黄色の宝石があったとして、その屈折率が1.77ならイエロー・サファイア、1.58ならイエロー・ベリル、1.55ならシトリンという感じで識別可能です。

屈折計では、高屈折ガラスの屈折率(一般に1.81)以上の屈折率を持つ宝石の測定はできません。例えばダイアモンドの屈折率は2.417のため、通常の屈折計では測定できません。

分光検査
分光器&ペンライト

分光検査は拡大検査や屈折率測定と共に重要な検査のひとつで、 分光器(写真右、上)を用いて、宝石の吸収スペクトルを調べる検査です。

スペクトルとは、太陽光線やそれに近い白色光線をプリズムなどに通した時に見られる、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の7色の連続した光の帯(写真左下、上段)のことです。

光が宝石を通過することにより、一部分が吸収され、それを吸収スペクトルと呼びます。吸収スペクトルを観察することで宝石の識別ができることがあります。
この時、宝石に吸収されなかったスペクトルの混合を、私たちは宝石の色として感じるのです。

検査方法には、透明石〜半透明石には透過法、半透明石〜不透明石には反射法があり、ここでは透過法について説明します。
まず最初にペンライト(写真右、下)やファイバー光などの光源上に石を保持し、光が多く透過する部分を見つけます。次に分光器を近づけ、石を透過した光が分光器に入るようにします。そして分光器を覗き、スペクトル中の吸収ラインや吸収バンドを確認します。
吸収ラインとは、スペクトル上に現れる明瞭な暗線、吸収バンドとは比較的狭い範囲の帯状の吸収をいいます。

吸収スペクトル

例えば、ある赤色の透明石があり、ルビーか赤色ガラスかがわかっている場合に、分光検査をすれば識別することが可能です。

ルビーのスペクトルには、含有されるクロムによる赤色部の吸収ライン(クロムライン)、黄色〜緑色にかけての連続した吸収、青色部の吸収ライン(ルビーライン)、紫色部の吸収が確認できます(写真左、中段)

セレン(Se)着色の赤色ガラスには、赤色部以外の連続した吸収が確認できます(写真左、下段)

多色性検査
二色鏡

二色鏡(写真右)は宝石の多色性を検査する器材です。鑑別検査においてはあくまで補助検査のひとつですが、非常に小さく携帯が可能なため、海外の買い付けなどではとても重宝します。
まず宝石の多色性について簡単に説明しましょう。

宝石には、異なる方向で違う色に見えるものがあり、それを多色性と呼んでいます。二色見える場合は二色性、三色見える場合は三色性、ひとつの色のみ見える場合は多色性なし、といいます。

例えば、ルビーは二色性です。ルビーの色は赤色ですが、方向によっては赤紫色と黄赤色が見えるのです。通常、私たちの目は、この赤紫色と黄赤色の混合したものをルビーの赤色と認識しています。
一方、ガーネットやスピネルの赤色は、どの方向から見ても同じ色で、これらは多色性なしの宝石です。

ルビーを検査した際の二色鏡の映像 上が紫赤色・下が黄赤色 一見、赤色のルビーの色を、赤紫色と黄赤色に分けてくれるのが二色鏡です。二色鏡を覗くと二つの窓が見えます。

二色鏡の反対側にルビーを保持し、二つの窓からルビーの赤色が見えるようにします。二色鏡でルビーをいろいろな方向から覗くと同時に、二色鏡を回転させます。

あるところで、二つの窓のうち、一方に赤紫色、もう一方に黄赤色の二色が見えます。(写真左)

ルビーのように、二色性の石には異なる二色が見られ、三色性の石は異なる三色(同時には二色まで)が見られます。
スピネルやガーネットの場合、あらゆる方向から見ても、いくら二色鏡を回転させても、二つの窓から見える色は全く同じです。

紫外線蛍光検査
紫外線蛍光器

紫外線蛍光検査とは、宝石に紫外線を当てた時の蛍光の有無や発光色を調べる検査です。あくまで補助検査のため、この検査のみで判断することは難しいのですが、鑑別の重要な手がかりを与えてくれる検査のひとつですです。

宝石の検査では、一般に長波紫外線ランプ(365nm)と短波紫外線ランプ(253.6nm)が用いられます。写真はその両方のランプを備えた紫外線蛍光器です。

まず最初に、ボックスの中に宝石を入れ、覗き窓に目を付け、蓋をして光が入らないようにします。
暗室ボックスの暗さに目が慣れてから、長波または短波紫外線のスイッチをONにし、宝石の蛍光色を検査します。

例えば、スリランカ産及びアフリカ産のブルー・サファイアは、長波紫外線で暗赤色〜オレンジ色の蛍光色を示すことがありますが、その他の産地のものは蛍光を示しません。
また短波紫外線で白濁蛍光を示す天然ブルー・サファイアは、加熱処理された可能性が高いといえます。

拡大検査
顕微鏡とルーペ

拡大検査は、肉眼では見えない内部特徴を観察することにより、天然や合成の特徴、処理の痕跡を得ることができます。

拡大検査に用いられるものとして、ルーペと顕微鏡があります。

宝石検査用のルーペは、主に10倍のハンド・ルーペが一般的で、 球面収差・色収差を防ぐために2枚、もしくは3枚のレンズが組み合わさったものが用いられます。

宝石顕微鏡は接眼レンズが2つあり、立体的に像を観察することができる双眼実体顕微鏡が一般的で、倍率は10倍〜40倍くらいのものが主流です。

拡大検査における識別方法でルビーを例に挙げますと、
天然ルビーには、結晶インクルージョンや“シルク”と称される針状のインクルージョンが観察できます。

カーブライン&気泡

これに対して、ベルヌイ合成ルビーには“カーブライン”と称されるレコード盤の溝のような湾曲した線や気泡が確認できます。

拡大検査は、インクルージョンの特徴を知っている必要があるため、もっとも経験が必要とされる検査のひとつといえます。

カラー・フィルター検査
カラー・フィルター

カラー・フィルター検査で用いるカラー・フィルター(写真左)は、チェルシー・カラー・フィルターもしくはエメラルド・カラー・フィルターとも呼ばれ、元は天然エメラルドと模造エメラルド(緑色ガラス)の識別のために考え出されました。

フィルターは、赤色と黄緑色の一部の波長のみを透過し、その他の波長は完全に吸収します。見た目は同じ色の石でも、フィルターを通して見ると色が異なり、識別が可能となる場合があります。

エメラルドの場合、天然エメラルドは、暗赤色・暗ピンク色・変化なしに見えますが、模造エメラルド(緑色ガラス)は全く変化なし、これに対し合成エメラルドの多くは鮮赤色を示します。

カラー・フィルター検査 右の写真は青色ガラス(コバルト着色)です。

写真の左側は、ペンライトの光をあてた状態、右側はさらにカラー・フィルターを通して撮影したものです。

フィルターを通すと、鮮やかな赤色に見え、一見ブルー・サファイアのような青色ガラスを簡単に識別できます。(ブルー・サファイアは変化しない)

カラー・フィルターはあくまで補助検査のひとつで、これのみで宝石が何か特定できるわけではありませんが、携帯性に優れ、簡単に検査できることから、買付けにおいては非常に重宝します。


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